このグラフから2020年の特異性を読み取ることができるでしょうか?表を作ってみると,2019年までは毎年2万人以上増えていましたが2020年は2019年より速報値ベースで9千人(月報値ベースだと8500人)減っている特異な年である事がわかります.
追記(2021/11/15): 2020年の年初は例年より総死者数は少なめでしたが,後半は例年より若干多めで推移しました.2022年になってからは はっきり増加傾向で,5月は例年より1万人くらい多い状況,それ以降は毎月の死者数は数千人から1万人弱例年より多いと言えます.現状の慎重な分析が必要です.過剰な感染対策で人々の免疫が下がってしまったのではないかと心配しています.
速報値(2ヵ月後発表) | 月報値(半年後発表) | |
2016年 | 131.9万人 | 130.8万人 |
2017年 | 135.2万人 | 134.0万人 |
2018年 | 137.5万人 | 136.2万人 |
2019年 | 139.4万人 | 138.1万人 |
2020年 | 138.5万人 | 137.3万人 |
2020年が前年よりなぜ減ったのかは慎重な分析が必要でしょう.月報を見ると肺炎を死因とする死者は2019年の9万5千人から2020年は7万8千人に減りました. 2020年に恐ろしい死の病が流行したと言う結論は出せないと判断しています.例年なら亡くなってもおかしくない方が,生きていらっしゃるという判断もできます.リバウンドが心配です.
感染症週報をみると新型コロナ感染症以外の感染症報告数は軒並み減っています.例えば2020年のインフルエンザの流行の山は例年の半分以下で1月中に減少開始.その後はインフルエンザは絶滅したのかと見紛う数字です.死亡者減少の考えられる理由としては,
なお統計データを見るときは、例えば以下の点にも注意が必要です。
2020年6月18日付けで厚生労働省は
日本人に新型コロナウイルスの死者が少ない理由は何でしょうか?
国内発生状況など の「参考資料 」にある「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向」をクリックすると最新状況がわかります.
「都内の最新感染動向 」も参考になります.
簡単にまとめてみます。
ウイルスは自分では増殖できず,細胞内に入り込み,細胞内の機構を利用して自分自身のコピーを作らせ,細胞から出て他の細胞に移るということを繰り返します.大量のウイルスを増殖した細胞は死滅するので,ウイルスの増殖を抑える事がポイントです.
なお,「生物基礎」の高校教科書でも免疫について解説されていますので併せて参照すると良いと思います.
IgM抗体がウイルスを認識し、IgG抗体がウイルスを処理すると考えられています.初感染時はIgM抗体価が先に上がり、後からIgG抗体価が上がります.しかしながら日本でのIgM抗体とIgG抗体の抗体価のグラフを見ると同時に伸びる既感染パターンで、免疫が獲得できていると判断されます.これは,在来のコロナウイルスに対する獲得免疫が新型コロナウイルスに対する免疫として作用している(交差免疫),またはすでに新型コロナウイルスに被爆して,新型コロナウイルスにに対する免疫を獲得している(獲得免疫)ことを示唆しています.
日本における新型コロナウイルス感染症による死者数は,例年のインフルエンザ死者数と比べても少なく(多分非常に少なく)日本では何らかの意味で免疫を獲得していると考えなければ説明できない状況です.
2020年5月15日付け朝日新聞の記事で2019年1~3月の500人の献血から2名の抗原検査陽性者が出たと報じられています.検査の精度が問題との立場からの記事ですが,日本人が交差免疫を獲得している事を示唆すると見ることも可能です.
在来コロナウイルスはおそらく非常に多数あり,病原性も大してないので研究されておらず,ゲノム情報もわかりません.新型コロナウイルスを撲滅しようとするのは愚かでしょう.共存するしかないと思います.
インフルエンザは毎年冬に流行します.夏の間ウイルスはどこにいるのか?というのは謎なのですが,実は夏もヒトはインフルエンザウイルスを持っていて発症しないだけ,という説もあります.自然免疫が高い夏は発症しないが,冬は気温が下がり自然免疫のレベルが下がるのでインフルエンザの発症が増えるという訳です.
PCR検査ではプライマーと呼ばれる標的の遺伝子配列を2箇所検出し,挟まれた配列を増殖させ,指定した部分を光らせ,光の強度を計測して増殖を追跡します.(PCR検査は本来は定量的な検査ではありません.挟んだ部分の長さを泳動で検出するのが元々の方法)国立感染研究所のマニュアルでは,40サイクル(Ct値40)まわして増殖させるという話ですので、2の40乗、約1兆倍する計算で,極微量でも検出できる理屈です.
PCR検査は30サイクル(Ct値30)以下で遺伝子を検出するのが普通で,PCR反応の特異度は99%といわれていますから,条件の整った実験室で的確な検査をすれば素晴らしい成果が期待できます. しかしながら,感染症の診断に使うとなれば話は異なり,PCR検査のみで症状もないのに感染を診断しようというのは無謀な考えです.常識的な医師なら,患者に対し,症状を見て,抗原抗体検査,胸部CT検査,血中酸素濃度の検査等を行い,その結果から感染の診断をするでしょう.PCR検査を補助的に使うことは従来からありますが,あくまで参考です.現状は無症状者にいきなりPCR検査だけ行い感染を判定する状況となっています.
大橋眞先生(免疫生物学者 徳島大学名誉教授)は,YouTubeに学びラウンジを主催しビデオを多数投稿,主に「PCR検査は何を見ているのか」という疑問を考察しています.ウイルスがどの様に同定されたかにも言及し,病原性の証明にも疑問を呈しています.新型コロナウイルスの病原性を自明の事として仮定せず,きちんと検証する姿勢が望まれます.なお YouTube が医学的に誤りと判断して削除した大橋先生のビデオはここで見れます.
症状を見るのでなくPCR検査で感染を判定し続ければこの騒動は永遠に続くかも知れません.
上記の井上正康先生との対談にもありますが,WHOもPCR検査で35サイクル以上での検出は無意味と述べています.これを承けたのか,厚生労働省は2021年1月22日に事務連絡を出し,無症状者の検査は「5人分をプールして検体を作りCt値30-35で検査する」旨,指示しています.1月下旬以降の陽性者数の報告の減少が見込まれます.PCR検査の適正使用への第1歩と思います.
東洋経済 online の記事も参考になります.PCR検査の問題点を指摘する記事が数多く見つかります.
アメリカの疾病管理予防センター(CDC)発行の診断パネルの38ページに次のように述べられています。Detection of viral RNA may not indicate the presence of infectious virus or that 2019-nCoV is the causative agent for clinical symptoms. (ウイルスRNAの検出は、感染性ウイルスの存在、または2019-nCoVが臨床症状の原因物質であることを示していない場合があります。)
また39ページには次のような文章があります.これを読んで新型コロナウイルスの分離株はあるように読めるでしょうか?
Since no quantified virus isolates of the 2019-nCoV are currently available, assays designed for detection of the 2019-nCoV RNA were tested with characterized stocks of in vitro transcribed full length RNA (N gene; GenBank accession: MN908947.2) of known titer (RNA copies/µL) spiked into a diluent consisting of a suspension of human A549 cells and viral transport medium (VTM) to mimic clinical specimen.
新型コロナウイルスに対するPCR検査を設計した論文に疑義を呈する論文もあります. External peer review of the RTPCR test to detect SARS-CoV-2 reveals 10 major scientific flaws at the molecular and methodological level: consequences for false positive results.
感度70%(感染者が陽性と出る確率),特異度(非感染者が陰性と出る確率)90%の検査があったとして,無作為に10万人に検査を行って感染の判定をしたらどうなるでしょうか?
仮に0.1%の方が感染していると仮定した表は次の様です.
感染者 | 非感染者 | 計 | |
検査陽性 | 70人 | 9990人 | 10060人 |
検査陰性 | 30人 | 89910人 | 89940人 |
計 | 100人 | 99900人 | 10万人 |
1%の方が感染していると仮定した表は次の様です.
感染者 | 非感染者 | 計 | |
検査陽性 | 700人 | 9900人 | 10600人 |
検査陰性 | 300人 | 89100人 | 89400人 |
計 | 1000人 | 99000人 | 10万人 |
10%の方が感染していると仮定した表は次の様です.
感染者 | 非感染者 | 計 | |
検査陽性 | 7000人 | 9000人 | 16000人 |
検査陰性 | 3000人 | 81000人 | 84000人 |
計 | 10000人 | 90000人 | 10万人 |
検査をした1割弱の方が不要な処置を強いられます.検査は賢明に使いたいものです.
長尾和宏先生はコロナチャンネル(ニコ動)を配信しています. その中で,次のようなことを述べています.新型コロナ感染症は感染症法で二類相当で一類扱いされているため,発熱者はまずコロナ疑いで保健所の管理下に入ります.しかし保健所は処理能力を超えた案件を抱えてしまっているので,すぐ医療には繋がれず待機となり,一部重症化する患者がでると述べています.PCR陽性者は無症状でもエボラ出血熱患者と同等の管理下に置かれ医療資源を消費しますので,患者数が増えれば医療が逼迫する理屈です.インフルエンザなみの五類で扱うべきと思います.インフルエンザは年間1000万人を超える患者数で,ピーク時には1週に200万人の患者が受診と推計されていますが,医療は崩壊せず回っています.1日1万人に満たないPCR検査陽性者数(重症者数はピークで1日1000人程度)で医療崩壊がおこるのはなぜでしょうか?政治の不作為が原因と思います.
ミヤネ屋 2021年8月12日, バイキングMORE 2021年8月10日
また,新型コロナウイルスはACE2受容体と結合し,細胞内に入り込み,一部の方に血栓や心筋症を起こし重症すると述べています.上記の井上正康先生は,ACE2受容体(体のあちこちに分布するが,腸に非常に多い)の役割が判明したことで,風邪をこじらせて重症化するメカニズムが判明したと述べています.新型コロナウイルスに関連したACE2は一体どんなものでしょうか?(2020年3月23日)もご覧ください.
例えば,血栓のリスクの高い方(肥満,高脂血症,高血圧,糖尿病,喫煙,動脈硬化症,自己免疫疾患)は重症化リスクは高いと言えるでしょう.そういった方が発症したら,必要な医療措置を迅速に取れる体制の整備が重要でしょう.現状は,まず保健所管轄かどうか決めるため,最初にPCR検査の受検を待ち,検査後結果が出るのを待って,陽性なら保健所が受け入れ医療機関を決めるのを待つという形ですので,重症化リスクの高い方は本当に気の毒です.
人工抗体というのがあります.抗体を持っている人から抗体を取り出し,人工的に増殖させ患者の体内に点滴で注入する方法で,うまく行けば劇的な効果が期待できます.
引用ここから
アゴラ研究所所長で経済学者の池田信夫氏が指摘する。「英国の大手世論調査会社ユーガブによると、日本では新型コロナが"怖い"か"やや怖い"と答えた人の割合が、4月以降一貫して70~80%と高い。一方、十数万人が亡くなった米国は60%台、医療崩壊を起こしたイタリアは50%台、同じく英国やスペインは40%台にすぎません」
「煽ったほうが視聴率をとれるテレビに踊らされ、新型コロナを"死の病"と思い込んだ"コロナ脳"の人が多いからです。ワイドショーにかぎらずNHKニュースも毎日、"何百人感染した"と報じるものだから、人々はさらに怖くなってしまう。情報災害であり、ニュースによって社会的パニックが作られています。いまの経済的損失もウイルス自体によってではなく、テレビに煽られたコロナ脳の人々によって引き起こされたと言えるでしょう」
一方、スウェーデンでは、陽性者数の増加はあるものの、死亡者数の増加はなく、当初、ロックダウンなどの対応を取らず死亡者数が多い、と批判をされましたが、現在は、評価されつつあります。
以上、まとめると、
テレビと新聞から情報を得て,恐怖にかられ,怯えてしまっている人々は大勢いるように思います.テレビを見るのをやめ,データを見て,何が妥当な対応か判断をしてほしい,知識を持っている方はその手助けをしてほしいと思います.
風邪や季節性インフルエンザ対策と同様にお一人お一人の咳エチケットや手洗いなどの実施がとても重要です。風邪症状があれば、外出を控えていただき、やむを得ず外出される場合にはマスクを着用していただくようお願いします。
マスクには保湿効果があり,マスクをしていると口や鼻を直接触ることはできません.この事より一定の予防効果はあると考えることはできます.しかしながら,後述するようにマスク表面にウイルスが付着するので,マスクの長時間の着用や,マスク表面を触ることを考えると,マスクの効果の評価は複雑でしょう.
ウイルスの大きさは約0.1ミクロンといいわれています.不織布製のマスクが捕捉できる粒子の大きさは5ミクロン以上ですから,30ミクロンと言われる花粉や,5ミクロン以上といわれる飛沫の捕捉が期待できます.しかしマスクの表面に飛沫がつくと時間の経過とともに乾燥して0.3ミクロンくらいの飛沫核になると考えられ,マスクをし続けるとウイルスは容易にマスク着用者の呼吸器系に入ると考えられます.マスクを頻繁に替えるのでなければ,長時間1つのマスクを着け続けるのは感染リスクを高めるかも知れません.健康な方が長時間1つのマスクを着用するというのは,免疫のブースター効果を狙うという意味を持つかも知れませんが,重症化リスクの高い方はどうなのでしょう.私には上記厚生労働省のコメントはとても合理的に見えます.
マスクを着けていると酸欠になり,脳細胞に悪影響を及ぼします.小児や高齢者ではその影響は無視できない状況です.
赤ちゃんは顔を見ることで,表情を読み取る事を学習します.保育者がマスクをつけていれば,表情を読み取れない子に育ってしまいます.
PCR検査陽性者が出ると保健所は濃厚接触者を追跡します。マスクをしていると濃厚接触者にならないそうです.マスクにはそのような社会的意味があると現状では言えます.
現状ではマスクをしていると安心するという方も居ると思います.不安になると免疫が下がりますから,マスクで安心するなら心理的効果もあるのかも知れません.
ただ次の事は知っておいて良いと思います. マスクは菌が繁殖し感染媒体になります.スペイン風邪流行の際,多くの方がマスクが原因の細菌性肺炎で亡くなったと述べている専門家もいます.
ワクチンの有効率95%の意味は次のようなものだそうです.
接種者数 | 発症者数 | 有効率 | |
ワクチン接種 | 2万人 | 8人 | (162-8)/162=0.95 |
偽薬を接種 | 2万人 | 162人 |
なお,新型コロナウイルスのワクチンは遺伝子組換技術が基になっていて,未知のことが多い状況です.6000種以上の変異株が報告されている中,抗体依存性感染増強(ADE)が起きないかなど,長期的に見守る必要があります.なお遺伝子技術が基のワクチンは家畜に接種したことはありますが,人への接種の経験の蓄積はありません.長期的な副反応の評価はこれからと言えます.
第51回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和2年度第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 資料
「現状は,医療的に必要ないのに,パニックを抑えるために社会政策としてワクチン接種を推奨しているように見える」という意見があります.その様な考えの政策を遂行したら政治責任を問われるでしょう.
JPShikaDoctor(UK Health Security Agencyのレポートなどを解説してくれています)
日々予め幸せ
中村篤史先生
ワクチン接種後に死亡した事例が結構な数報告されている様です,ワクチン接種との因果関係は評価できないそうです.
中村篤史先生の記事よりの引用
「皆さん、医学論文って聞くと、「ほー、論文か、すごいな」と思うかもしれないけど、すべての論文が等しく説得力があるわけではない。つまり、論文には、主張の強さ、エビデンスレベル、というものがあって、ここにははっきり序列がある。最も説得力のある論文(エビデンスレベルの高い論文)は、レビューである。その下にRCT(無作為化比較試験)があり、以下、コホート研究、症例対照研究、機構研究と続く。」
欧州での超過死亡を観測しているEuroMOMOを見ると、2020年の12週から19週にかけて,死亡者数のグラフの山が見えます.しかし若い方はほとんど亡くなっていません。総死亡者数も最近は落ち着いていて例年のカーブに近づいてきています. アメリカ合衆国のアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の超過死亡データのグラフも参考になります.
コロナウイルスはもともと東アジアに常在する風邪の原因ウイルスの1つと言われており,それが理由なのでしょうか,東アジアの国々はヨーロッパやアメリカと比べると二桁くらい死者は少ない状況です.ヨーロッパでは抗体依存性感染増強(ADE)が起こったのではないかという指摘もあります.常在コロナウイルスは強い病原性をもつとは思われておらず,ゲノム情報の研究も少なく,東アジアで死者が少ない理由をきちんと検証するのも大変と思います.ヨーロッパの人々はコロナウイルスに被爆したことが少なく,基礎疾患があり免疫力が衰えていたりするとコロナウイルスに被爆して重症化するというのは,有り得る話の様に思います.免疫が低いと想定される方々をしっかり守るというのは,状況に関係なく対応しなければならない事でしょう.
Tansaマネーデータベース『製薬会社と医師』
現状が続けば,飲食店やホテルは廃業が続出し,公共交通機関も衰退するでしょう.医療には過剰な負担がかかり続け病院や医院は赤字が続き廃業するかもしれません.コンサート,映画,演劇などは続けられなくなり文化も衰退すると思います.企業は倒産し,失業者は増え,社会不安は増大していくでしょう.精神的な問題を抱える人も増えるでしょう.このままでよいのでしょうか?
現状を変えていくには
個々の政策の合理性妥当性も科学的に検証されるべきです.