連結

第3章

連結

空間がつながっているとかつながっていないとかの議論は重要である.大学でも,「数学科の連結成分の個数は3である.」などと冗談に言うことがある.これは数学科の部屋でつながっている部分が3ヶ所あるという意味である.

目次

  1. 連結空間
  2. 中間値の定理
  3. 弧状連結

3.1 連結空間

位相空間 X が連結であるとは X が共通部分のない空でない開集合の和集合として表せないことをいう.いい替えれば,空でない開集合 U,V によって,

X = U ∪ V,  U ∩ V = 空集合

のようには表せないということである.ただし,空集合も連結であると理解する.

さらに,部分集合 A ⊂ X についても,部分空間として,A が連結であるとき,A は連結な部分集合であるという.部分空間位相の定義を思い出せば,これは,X の開集合 U, V によって,

A = (A ∩ U) ∪ (A ∩ V), A ∩ U ≠ 空集合, A ∩ V ≠ 空集合,  A ∩ U ∩ V = 空集合

とは表せないことを意味する.

命題 3.1 位相空間 X が連結である必要十分条件は X の開かつ閉集合は X 自身と空集合 空集合 に限るということである.

証明(必要条件)X と 空集合 以外に開かつ閉集合 U があれば,補集合 V = Uc も開かつ閉集合である.もちろん,X = U ∪ V であり,U ≠ 空集合,V ≠ 空集合,U ∩ V = 空集合 である.これは,X が連結でないことを表している.(十分条件)X が連結でなければ,X = U ∪ V となる共通部分のない空でない開集合 U,V が存在する.このとき,U = Vc となり,U は開かつ閉集合で,X でも 空集合 でもない.

定理 3.2 実数空間 R において,区間 [a,b] は連結である.

証明 部分空間 [a,b] において考える.もし,[a,b] が連結でなければ,

[a,b] = U ∪ V, (U ∩ V = 空集合)

となる [a,b] の空でない開集合 U,V が存在する.このとき,[a,b] は R の閉集合であり,U,V は [a,b] の閉集合であるので,U,V は R の閉集合でもある.いま,a ∈ U とし,

γ = sup { x ∈ U | x ≦ y, y ∈ V } ∈ U- = U

と定める.上限の定義により,任意の正数 ε に対して,γ + ε > y となる y ∈ V が存在する.実際,すべての y ∈ V について,γ + ε ≦ y が成立すれば,γ + ε ∈ A であり,γ が A の上界であったことに反する.すなわち,(γ - ε,γ + ε) ∩ V ≠ 空集合 であるので,γ ∈ V- = V である.したがって,γ ∈ U ∩ V となって矛盾である.

3.2 中間値の定理

定理 3.3 [連続写像の像の連結性] 位相空間 X, Y と連続写像 f : X → Y が与えられているとする.X が連結であれば,像 f(X) も連結である.

証明 連続写像 f : X → f(X) を考えることにより,最初から f は全射であるとして良い.Y が連結でないとすれば,

Y = U ∪ V, U ≠ 空集合, V ≠空集合, U ∩ V = 空集合

となる開集合 U,V が存在する.このとき,X = f-1(U) ∪ f-1(V) であり,f が全射連続写像であることから,f-1(U) および f-1(V) は空でない開集合である.さらに,f-1(U) ∩ f-1(V) が空集合であることもわかる.というのは,x ∈ f-1(U) ∩ f-1(V) とすると,f(x) ∈ U ∩ V となるからである.したがって,X は連結でない.

位相空間 X, Y が同相であれば,X が連結であることと Y が連結であることは同値である.すなわち,連結性は位相的性質である.

[中間値の定理] f(x) を閉区間 [a,b] 上の実数値連続関数とし,f(a) < f(b) とする.このとき,f(a) < γ < f(b) を満たす γ に対して,f(c) = γ となる c ∈ [a,b] が存在する.

証明 定理 3.3 により,像 A = f([a,b]) は R の連結部分集合である.いま,γ A とすれば,U = { x∈ A | x < γ } および V = { x ∈ A | x > γ } は A の空でない開集合であり,A = U ∪ V,U ∩ V = 空集合 である.これは,A が連結であることに矛盾する.

問題 f : [a,b] → [a,b] を連続関数とすれば,f(c) = c となる c ∈ [a,b] が存在することを示せ.ヒント:連続関数 g(x) = x - f(x) を考えよ.

3.3 弧状連結

X を位相空間とする.I=[0,1] とおき,連続写像 α :I → X をとよび,x = α(0) を始点 ,y = α(1) を終点 という.

定義 3.4 位相空間 X が弧状連結 とは,X の任意の2点 x, y に対して,x を始点とし,y を終点とする道が存在することをいう.また,X の各点に弧状連結な開近傍が存在するとき,X は局所弧状連結 であるという.

弧状連結は歩いて行くことができる所はつながっているという日常的な感じに近い概念である.

定理 3.5 弧状連結な位相空間 X は連結である.

この逆は成立しない.連結であって,弧状連結でない位相空間の例がある.

Rn は弧状連結である.実際,x, y ∈ Rn に対して,道 α(t) = (1 - t)x + ty は x を始点とし,y を終点とする道である.同様に,開球 Br(a) も弧状連結である.

問題 n ≧ 2 のとき,Rn\{0} は弧状連結である.しかし,R\{0} は弧状連結でない.このことを示せ.このことを用いて,R2R とは同相ではないことを確認せよ.


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