ニュートンと代数曲線

ニュートンと代数曲線

酒井文雄

デカルトの幾何学を熟読したと伝えられるニュートン3次曲線の分類を実行した.その結果が刊行されたのは「光学」の付録としてであり,1704年のことであったが,実際に研究がなされたのは1676年頃ではないかといわれている.このニュートンの研究により,方程式から出発して対応する図形を調べるという型の研究が始まった.デカルトは図形に方程式を対応させ,方程式を調べることによって,元の図形の性質を導くということを考えたのであるが,与えられた方程式の表す図形を一般的に考えることはしなかった.

目次

  1. 2次曲線
  2. 3次曲線

2次曲線

円や放物線などは方程式で表すと2次曲線になる.幾何学的な図形を方程式で表すということは17世紀のデカルトに始まる.半径 r の円の方程式は x2 + y2 = r2 であり,放物線の方程式は y = ax2 で与えられる.2次曲線にはこの外に双曲線がある.双曲線には2本の漸近線がある.また,円は楕円の特殊な図形であると考えられる.幾何学的には楕円(双曲線)は与えられた2点からの距離の和(差)が一定の曲線であり,放物線はある点とある直線との距離が等しい点の軌跡である.一般に x, y に関する 2 次の方程式は

Ax2 + Bxy + Cy2 + Dx + Ey + F = 0

のように表される.既約な2次多項式で表される曲線を既約2次曲線という.合同変換(回転+平行移動)により,既約2次曲線は上記の楕円,放物線,双曲線のいずれかになる.

3次曲線

一般の3次方程式は10個の項を持ち,

Ax3 + Bx2y + Cxy2 + Dy3 + Ex2 + Fxy + Gy2 + Hx + Iy + J = 0

という形をしている.座標変換により,次のような標準型に変換される.

Class T   xy2 + ey = ax3 + bx2 + cx + d
Class U   xy = ax3 + bx2 + cx + d
Class V   y2 = ax3 + bx2 + cx + d
Class W   y = ax3 + bx2 + cx + d

ニュートンはそれぞれをさらに細分して全部で72通りに分類している.ここではそれぞれのクラスについて,典型的な3次曲線を観察してみよう.

まず,IV 型から見てみる.これは3次関数のグラフであるから,大略想像できる.極大値極小値問題でお馴染みのグラフである.次はそれぞれ,y = (x - 1)(x - 2)(x - 3), y = x(x2 + 1) および y = x3 のグラフである.

次に,III 型を見てみよう.この場合には,右辺の3次関数の根の様子によって,5通りに分類される.3個の実根を持つ場合には次のような形をしている.島になっている部分が出てくるのが面白い.実際,定義方程式を y2 = (x - 1)(x - 2)(x - 3) とすると次のようになる.

その他の場合には,どこかが退化した形と理解できる.

定義方程式はそれぞれ,y2 = x3, y2 = (x + 1)x2, y2 = x(x2 + 1), y2 = x2(x - 1) である.

次に,II 型を考える.この場合には,y 軸 x = 0 が漸近線になっている.以下の図はこの漸近線を加えた形で示してある.定義方程式はそれぞれ,xy = (x - 1)(x - 2)(x - 3), xy = (x + 1)(x - 1)(x - 2) である.

いよいよ,I 型の考察に移る.場合分けが多いので,代表的な図形のみを描画する.

場合 (i).a > 0 の場合には3本の漸近線がある.次の3直線である.

x = 0, 2ax - 2√ay + b = 0, 2ax + 2√ay + b = 0

いま,右辺が (x - 1)(x - 2)(x - 3) のときを見てみよう.e の値によって,次のように図形が変化する.定義方程式はそれぞれ,xy2 + y = (x - 1)(x - 2)(x - 3), xy2 + 10y = (x - 1)(x - 2)(x - 3) である.

e = 2 のときには2次曲線と直線に分解する.

(xy2 + 2y = (x - 1)(x - 2)(x - 3) の場合)

場合 (ii).a < 0 であれば,漸近線はただ1本(y 軸)である.

定義方程式は xy2 + y = - (x - 1)(x - 2)(x - 3), xy2 = - (x - 1)2(x - 2), xy2 = - (x - 1)3 である.

場合 (iii).最後に,a = 0 の場合の曲線をいくつか描いてみよう.この場合も y 軸が漸近線である.

上図の定義方程式はそれぞれ,xy2 + y = x - 2, xy2 = (x - 1)2, xy2 = (x - 1)(x - 2) である.


備考:曲線の描画には代数曲線描画ソフト ICURVE (制作者:戸野恵太)を用いた.

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