スタッフ紹介
長澤 壯之 / Takeyuki Nagasawa
研究分野
非線型解析
研究概要
ものの形がどうやって決まるかと言う素朴な問題を数学的に考えています。例えば、シャボン玉(石鹸膜)は丸い形をしています。なぜ丸くなるのでしょうか。一方、血液中の赤血球膜は真ん丸でなく真ん中が少し潰れた形をしています。両方とも「膜」(数学的には閉じた局面)ですが、形が異なります。シャボン玉は丸い形が安定するので丸くなり、赤血球膜は少し潰れた方が安定すると考えられます。要するに「安定」の意味が異なるのです。形の不安定の程度を表す量(エネルギー汎関数)を最小化する形が何かを考えます。エネルギー汎関数を取り換えることで、様々な意味の「安定な形状」が得られます。最近は結び目のエネルギー最小化問題に取り組んでいます。イラストの1はあるレストランの照明で、ミツバ結び目と呼ばれるものです。イラストの2がミツバ結び目の中のエネルギー最小形(標準形)と考えられます。
この研究に関する成果の一部は http://www.saitama-u.ac.jp/sci/math/lab/nagasawa/seika.htmlに記載されています。
主要論文・著書・学会発表
【論文】
A. Ishizeki & T. Nagasawa, A decomposition theorem of the Möbius energy II: variational formulae and estimates, Math. Ann. 363 (1-2) (2015), 617–635.
A. Ishizeki & T. Nagasawa, Upper and lower bounds and modulus of continuity of decomposed Möbius energies, J. Geom. Anal. (2020), https://doi.org/10.1007/s12220-020-00496-x
【著書】
長澤 壯之,「ルベーグ流 測度論と積分論」, 共立出版, 東京 (2021年春出版予定).
著書については、こちらにも記載しています。
http://www.saitama-u.ac.jp/sci/math/lab/nagasawa/tyosyo.html
【学会発表】
長澤 壯之, 解析学的手法による結び目のエネルギーへのアプローチ, 研究集会「微分方程式の総合的研究」, 東京工業大学, 2019年12月21日. (招待講演)
【研究業績】
研究業績については、こちらに記載しています。
http://www.saitama-u.ac.jp/sci/math/lab/nagasawa/gyouseki.html
卒業研究
①卒業研究の内容
偏微分方程式論や積分方程式論に関連する話題から、 微分幾何学や数理物理学への応用を視野にいれて、テキストを選び、輪講を行います。セミナーは、研究室所属人数にもよりますが、 週に1・2回行います。
②教科書の候補
テキストはなるべく英語のものをと考えていますが、日本語のものを用いることもあります。受講者の興味の相談に応じます。卒業研究で必要な知識は、微分積分学・線形代数学は必須です。」ルベーグ積分は既習である事が望ましいです。 テキストによっては、 関数解析の知識も必要となります。
過去に使用したテキストは、http://www.saitama-u.ac.jp/sci/math/lab/nagasawa/tantou.html に記載されています。
高校生、学部学生へのメッセージ
数学が好きな人に理由を尋ねると、「答えが一つに決まるから。」という事をよく耳にします。答えが一つでも、大抵の場合は解答に至る道は複数あります。問題を解く際に、別解答を考える事を習慣にすると、どうすれば能率的に解答にたどり着けるがという感覚が養えます。